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島根大学総合理工学部物質科学科

〒690-8504 島根県松江市西川津町1060

研究内容RESEARCH

第一原理計算による物性研究

第一原理電子構造計算に基づいて,さまざまな物理量を定量的に計算することを行っています. 具体的には,非晶質や液体金属の直流伝導度やホール伝導度を計算してきました.

MEM電子密度解析手法の開発

X線回折データを,情報理論の1つである最大エントロピー法(MEM)により解析することで 従来の解析法では得られない詳細な電子密度分布を得ることができます.
本研究室では,こうしたMEMによる電子密度解析手法の研究を行っており, これまで価電子密度分布,結晶中の静電ポテンシャル,電場ベクトル などを計算する新しい手法を開発してきました.

 
 
MEM電子密度解析により実験的に求めたSi (110)面の価電子密度 第一原理計算により求めたSi (110)面の
価電子密度
 
 
 PbTiO3において,MEMから求めた等電子密度面を同じくMEMから求めた電場ベクトルのZ方向成分により着色した図 右と同じものを第一原理計算より求めたもの(after Cohen et. al.) 

超離散化・逆超離散化の研究

偏微分方程式において,解の性質や様々な保存量を保持したまま解析的に離散的な セルオートマトンに移行する手法を超離散化と呼びます. 一方,セルオートマトンから出発して類似の時間発展パターンを再現する偏微分方程式を 構築する方法を逆超離散化と呼びます.
本研究室では,エレメンタリーセルオートマトンと呼ばれる1次元のセルオートマトンや, ライフゲームなどの2次元セルオートマトンで逆超離散化に成功しています.

   
 逆超離散化により求めた偏微分方程式の解 ルール90と呼ばれる1次元セルオートマトンの時間発展パターン

グリーン関数の効率的な計算法の開発

複雑系や非周期系の電子構造を第一原理的に扱うためには, 巨大なハミルトン行列で記述される系のグリーン関数を扱う必要があります. そこでハミルトニアンを直接対角化することなく効率的にグリーン関数を計算する 手法の研究を行っています.こうした手法に要求されることは,
  • ハミルトニアンを直接対角化する必要がない
  • 計算に必要な計算機資源はシステムのサイズNに比例する(いわゆるオーダーN)       
  • ベクトル処理,並列処理に適している
などです.この方針のもとに,
  • 強結合LMTO−強制振動子法
  • 強結合LMTO−粒子源法
  • 再帰直交多項式展開法
等の方法を開発してきました.

3次元可視化プログラム

  第一原理計算やMEM電子密度解析から得られる電子密度や静電ポテンシャル等を3次元で可視化するプログラムの開発を行っています.プログラムの一部はHPを通じて公開しています.