界面でのシリコン原子放出の実証

界面からシリコン原子がシリコン酸化膜側に放出される現象を直接観測しようとする実験による試みも行われています。

ここでは、HfO2という膜と高分解能ラザフォード後方散乱(HRBS)測定を組み合わせた実験結果を紹介します[1]。

試料は、シリコンの表面をわずかに酸化した後、表面にHfO2膜を薄く堆積することで作成します。作成した試料は、この後酸素中で熱して酸化するもの(試料A)と、単になにもない真空中で熱するだけのもの(試料B)の二種類の処理をして、それぞれの表面をHRBSで測定しました。

HRBS測定の結果、Siの存在を示すシグナルが、試料Aの表面から観測されました。このシグナルは、何もない真空中で熱した試料Bでは観測されません。このことは、シリコンの酸化によって界面から放出されたシリコン原子が、SiO2膜とその上のHfO2を突き抜けて、表面までやってきたことを意味しています。このように実験的にも、シリコンの酸化によって、界面からシリコン酸化膜側にシリコン原子が放出されることが確認されています。

参考: [1] M. Zhao et al, Appl. Phys. Lett. 88, 153516 (2006).