シリコン熱酸化膜形成過程の簡単な理解

シリコンを酸素雰囲気中で700℃から1100℃に加熱すると、シリコン表面がシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)に改質され、シリコン熱酸化膜で覆われます。この過程はどのような機構(メカニズム)で起こっているのでしょうか?

シリコン(Si)の熱酸化過程を化学反応式で書くと

    Si+O2 → SiO2

と書くことができます。このように書くととても単純に見えますが、そんなに単純ではありません。

気体の酸素(O2)とシリコン(Si)は最初は直接接していますが、すぐにシリコンの表面はシリコン酸化膜(SiO2)で覆われてしまいます。そうするともはや酸素とシリコンは直接接することはなくなります。では、どうやって酸素はシリコンと出会って、化学反応を起こし、シリコン酸化膜に変化するのでしょうか?

その答えは、酸素がシリコン酸化膜の中を突き抜けてシリコンの表面まで到達し、そこで化学反応を起こすというものです。この見方が正しいことは、酸化膜の成長速度について実験を説明できることで確認できます。