科学の方法と問題解決能力

「科学の方法」

「科学の方法」とは、この世界を知り理解する一つの方法です。
科学という言葉は良く聞く言葉ですが、「科学の方法」とはどんな方法なのでしょうか。

皆さんは、この世の中は、分からないこと、知らないこと、不思議なことでいっぱいだと思ったことはないでしょうか。なんらかの事柄を真剣に、「なんでだろう」と考えたことがあると思います。その次に、その「なんで」の理由を考えたことでしょう。
「科学の方法」も、出発点はこれらと同じです。そして、その出発点を発展させて終着点まで行き着く一つの論理的な思考過程が「科学の方法」です。この思考過程は次の5つのステップから成ります。

第一ステップ:問題認識   解明したい事柄をハッキリさせる
第二ステップ:仮説     問題を説明する根本原理を仮説として建てる。
第三ステップ:演繹(推論) 仮説に基づくと、どのようなことが生じるかを演繹(推論)により導く
第四ステップ:検証     演繹によって導かれた事柄が実現しているかを実験や観察により検証する
第五ステップ:結論     以上の過程により明らかになったことを結論としてまとめる

「科学の方法」は、何が最も確からしいかを明らかにする論理法で、自然科学の分野だけでなく、工学分野、社会科学の分野など、現代社会の根幹をなす思考法です。大学において十分に理解して社会にでて下さい。

「問題解決能力」

「問題解決能力」とは、解決が必要とされている問題を現実的に解決する能力のことです。科学の方法を使えばいろいろな問題が解決されるかというと、実はそうではないのです。例えば、新しい機能材料を研究するしたい、あるいは研究する必要が生じたとします。すると、その機能はどのような物でなければならないのか?、どのような材料を研究すると目的に最も早く到達するのか?、そのための研究手段は何か?、その手段は実現可能か?、など問題解決のための必要十分要件を整理把握し、取捨選択し、実行して、ものごとが前進して行きます。このようなことができる能力を「問題解決能力」といいます。
どのような方法で問題を解決していくかは、それぞれ個人の個性が反映されます。ですから、こういう方法がよいと教えること学ぶことはなかなか難しいです。しかし、自分自身で訓練することはできます。たとえば、学生実験において、いかに手際よく精度の良い実験ができるかを自分で考えることが役に立ちます。卒業・修士研究においては、さらに自分で考えてできる裁量が増えますし、場合によっては、自分で装置を組み立てる機会を得ることがあるかもしれません。
理工系における「問題解決能力」のことを「工学的センス(エンジニアリングセンス)」ともいいます。エンジニアリングセンスは、社会にでて最も重要な、そして個性を発揮できる能力の一つですので、大学において訓練を積み重ねて下さい。