研究内容


 相転移という言葉を聞いたことがあるでしょう。 液体の水が固体の氷になるのや、気体の水蒸気になることをいいます。このように違った相になることを相転移と言います。金属を扱った分野ではこれを「相変態」とも呼びます。 固体の間でも原子の配列が変わることにより相変態(相転移)が起こります。

 
形状記憶合金と言う言葉を知っている人も多いことと思います。 変形させても温度を上げることによってもとの形に戻るような合金です。 この性質も原子のならび方が変化する「相変態」を利用したものです。 金属を扱った分野ではこの変態のことを「マルテンサイト変態」と呼びます。 このとき温度の高い時の相のことを母相(ぼそう)と呼び、温度の低い時の相をマルテンサイト相と呼びます。

 
マルテンサイト相を利用したものは形状記憶合金だけではありません。マルテンサイトという言葉は鉄鋼材料の光学顕微鏡観察を行い、その特徴的な組織の研究を行ったアドルフ・マルテンを顕彰してつけられたように、硬い日本刀の刃先もマルテンサイトを利用したものです。このように材料の硬化にも利用されています。

我々の研究室ではマルテンサイト、
結晶構造、結晶組織をキーワードとして研究を行っています。結晶構造や結晶組織はマルテンサイト物質のみならず、多くの物質で重要な役割を果たしています。機能性物質の研究にはこれらの視点からの研究は不可欠です。マルテンサイト物質の結晶構造を始めとした原子レベルでの研究には、
SPring-8Photon Factoryなどの放射光、X線、中性子線を用いて研究してきました。組織の研究には走査電子顕微鏡や電子顕微鏡を利用した研究も行っています。

                                    大庭・森戸研究室の研究スタイル(ぱわぽ☆)

※背景はマルテンサイトを光学顕微鏡でみた様子