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望月准教授の著書が刊行されました。(2016年8月29日)

 本領域の望月(西垣)真祐准教授の単著による著書「ランダム行列とゲージ理論 〜普遍性を通して捉える量子物理~」がサイエンス社よりSGCライブラリ(臨時別冊・数理科学)シリーズとして刊行されました。


<内容紹介>“普遍性”を鍵として,素粒子物理学,固体物理学諸領域から,カオス理論,数理物理学,数学諸分野に至る まで,広範な諸領域と関わりを持つランダム行列,片や物理学の基礎理論として揺るぎない位置を占めるゲージ理論.本書はランダム行列理論への入門と,ゲー ジ理論への適用を解説.

<まえがきより> 本書はランダム行列理論への入門と, ゲージ理論への適用の解説を目的としている. 対象としては古典解析力学から量子力学までの標準的な過程および線形代数学を履修し, 場の量子論を学びつつある理工系学部4年生・大学院生以上を想定した. 概ね前半は確率的に分布するエルミート行列集団の固有値統計の一般論を導入し, 後半はその技法を用いてゲージ場の量子論に関して得られる, ディラック演算子の準位統計を含む非摂動的性質について解説する.

ランダム行列理論の有用性の根拠は, 「量子系がもつ複雑性のためにその局所的準位統計は系の詳細によらない静力学的な性質で決定される」という普遍性の予想にある. この予想を認めれば, 物理的な量子系の対称性のみを共有しそれ以外は捨象した確率集団であって, 局所的準位統計の熱力学極限が厳密に導出できる模型, すなわちランダム行列集団を複雑な量子系の代理として用いることができる. Einsteinは1917年に, 「古典的にカオス的な力学系は, 有限個の量子数によってその量子準位を決定できない」という量子化に関わる根本的な疑問を提起したが, 上のシナリオはこの疑問に対する解答になり得る.  [後略]

なお本書は大学院博士前期課程専門科目「統計場の理論」のテキストとして使用されます。

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