強相関電子系って?
- はじめに
- 近年,固体物性物理学の中では,強相関電子系というキーワードで語られる物質群が話題を集めています.銅酸化物高温超伝導体や重い電子系化合物といった物質群は,典型的な強相関電子系として,現在も盛んに研究されています.
- 根底にある物理は,古くから研究されている磁性の問題とも共通していて,強相関電子系は,古くて新しい物理を含んだ研究対象だと言えます.磁性の問題が,長い間研究されてきたにもかかわらず,現在も固体物性物理学の基本的な問題の一つであり続けていることからもわかるように,強相関電子系の問題は,なかなか一筋縄では解決しない問題でもあります.そして,一筋縄で解決しないからこそ,研究対象としての魅力を持ち続けているのです.単に「解けないから面白い」というパズルとしての興味があるだけでなく,「解けない」部分に現象としての面白さを秘めた物理も存在している‥‥これが,強相関電子系の魅力かもしれません.
- さて,ここでは,このような強相関電子系の例を羅列せずに,典型的な強相関電子系を挙げることで,強相関電子系の問題の「核心」を(雰囲気だけでも)理解してもらいたいと思います.そこで,稚拙ではありますが,簡単な譬え話で,典型的な強相関電子系の一つ,Mott絶縁体と呼ばれる絶縁体をご紹介したいと思います.気楽にマンガを読むようなつもりでお付き合い下さい‥‥
- ※ 強相関電子系の問題は,固体内電子状態の一体近似との対比で議論されます.「バンド理論について」も参照して下さい.
(※図をクリックすると「ヘンテコルールの椅子取りゲーム」の説明に進みます)