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    希釈冷凍機


 超低温( 0.05 K = −273.10 ℃ )まで

温度を下げられる装置です。

 4.2 K で沸騰する 4He と、 3.2 K で沸騰する 3Heを

利用します。 4He と 3He の混合ガスは液化した

さらに低温で相分離( 希薄相、 濃厚相 )を起こします。

 この希薄相と濃厚相中における 3He のエントロピー

には差があり、 3He が濃厚相から希薄相に

移動するときに、 熱を奪って移動します。

 真空ポンプを利用して、強制的に 3He を移動させる

ことで、温度が下がります。

 (兵庫県立大学に所属していた時に、製作した希釈冷凍機です。 現在も寒剤となる液体ヘリウムを購入すれば 運転可能です。)


前多雄大(兵庫県立大学平成20年度修了生)
& 本山岳 製作



 希釈冷凍機の超低温を作りだす部分の写真と

その心臓部である混合器の内部の様子を模式的に

表した図です。

 混合器 ( mixing chamber ) には流量を調整された

3He が常に循環 ( 供給 ・ 回収 )しています。

供給は濃厚相に、 回収は希薄相からされます。

3He は内部エネルギーの小さい濃厚相から、 内部エネ

ルギーの大きい希薄相に移らなければいけません。

自身の熱エネルギーを内部エネルギーに変えて、

濃厚相から希薄相に移って行くことになります。

このとき、 全エネルギーは保存されていますが、

熱エネルギーに注目すると小さくなります、

つまり、温度が下がります。






 混合器がついていて、3He - 4He 混合ガスがあれば温度が下がるというわけではありません。

現実には、3He を供給するときに“熱”もいっしょに供給してしまいます。

この“熱”をいかに小さくできるかが希釈冷凍機の能力になります。

この役割を果たしているのが熱交換器 ( Heat Exchanger ) です。

これから混合相に供給されていく 3He の温度を、回収途中の最低温度に近い 3He で冷却します。

写真で紹介した熱交換器はチューブインチューブと言われるもっともシンプルな熱交換器です。



 他にも、 1 K ポット ( 1 K pot ) 、分留器 ( still ) 、インピーダンス ( impedance ) と

呼ばれるそれぞれに役割を持った部品の協力によって、希釈冷凍機は絶対零度に近い温度まで、

温度を下げることが可能になっています。

Motoyama lab., Shimane Univ.