一般講演・アウトリーチ活動




【2017年度】
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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター、島根大学学術情報機構戦略的研究推進センター講演会
神岡の地下から探る宇宙と素粒子 ーニュートリノと重力波ー

岐阜県神岡の地下では、1983年以来ニュートリノ研究が行われてきました。また現在は重力波 の観測を目指すKAGRAの建設も進んでいます。この講演では、スーパーカミオカンデでのニュートリノの小さい質量の発見やその後の研究、そしてその意義 についてお話しします。また今後期待されるKAGRAによる重力波の観測と重力波を通して調べる宇宙についてお話します。

日時: 2018年2月17日(土) 14:30〜
場所: 島根県立産業交流会館(くにびきメッセ)国際会議場
講演者: 梶田隆章(東京大学宇宙線研究所)


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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
ニュートリノはなぜ軽いのか? ーそして、なぜこの宇宙に反物質は少ないのか?ー

我々の身の回りにある物質は、クォークおよびレプトンと呼ばれる素粒子で構成されています。こ れらを記述する理論として確立した素粒子標準模型は、ヒッグス粒子の発見に代表されるように大成功を収めました。しかしながら、この理論では説明できない 現象があるため、標準模型を拡張する必要性が指摘されています。
ニュートリノは、我々の身の回りにある物質とほとんど反応しない素粒子です。ニュートリノ振動 実験によって、この素粒子が質量を持つことが分かりました。そして宇宙の観測により、その質量は極端に小さいことが明らかになりました。なぜニュートリノ が軽いのかはまだ理解されておらず、素粒子物理学における謎の一つと見なされています。
今回の講演では、クォークとレプトンの物理について既に分かっていることについてまず説明しま す。さらにニュートリノの質量がなぜ小さいのかを説明するアイデアとして、シーソー機構を紹介します。この枠組みは、宇宙の起源(物質が反物質より多く存 在すること)に関する謎に対しても有力な手がかりを与えることができるため、これについても簡単に説明します。

日時: 2018年3月3日(土) 13:00〜
場所: 島根大学大学ホール
講演者: 梅枝宏之(島根大学)


【2016年度】
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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
天体からの重力波〜アインシュタインの予言した時空のさざ波を捉える〜

重力波とは、アインシュタインが一般相対性理論で予想した、時空の歪みが宇宙を伝わる現象です。予想から100年後の2015年に人類で初めて米 国のLIGO実験が観測に成功しました。この重力波は、ブラックホールと呼ばれる天体の合体から発生したと考えられています。日本でも重力波を捉えてさま ざまなことを知るべく、KAGRA実験が進んでいます。重力波とはなにか?ブラックホールとは何か?どうやって観測するのか?そして、重力波を観測すると 何がわかるのか?... 本講演ではこれらについて解説し、KAGRA実験についても紹介します。

日時:2017年2月18日(土) 13:00〜
場所:島根大学教育学部20番教室
講演者:神田展行(大阪市立大学)


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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
謎の素粒子ニュートリノを隠岐の島で捉える

素粒子の標準模型は,素粒子の世界を説明する模型として最も良く確立しているものです.しかしながら,標準模型では未だ説明出来ていない謎が多く残されていることも事実であり,その内の1つにニュートリノの質量問題があります.
現在,電子ニュートリノ,ミューニュートリノ,タウニュートリノの3種類のニュートリノが発見されており,これらは極微の質量を持つために3種類のニュートリノが各々入れ替わるニュートリノ振動と呼ばれる現象が生じていることが実験的に明らかになっています.
本講演では,謎の素粒子ニュートリノに関して,これまでに明らかになってきたこと,またニュートリノ振動現象の精密測定により今後発展が期待されることを 解説し,また現在,島根大学素粒子論研究室で行っている,隠岐の島でのニュートリノ振動観測実験計画に基づいた理論的解析についても紹介します.

日時:2017年3月4日(土) 13:00〜
場所:島根大学教育学部20番教室
講演者:阿部裕悟(島根大学)


【2015年度】
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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
『宇宙の未知粒子「暗黒物質」を探る』

物理学の発展とともに、私たちの身の回りの物質の理解は大きく進んで来ました。 最近では、質量の起源とも表現される粒子「ヒッグス粒子」が発見され、「標準理論」と呼ばれる理論は大きく完成に近づいたといわれています。 しかし、宇宙全体を考えると、私たちの知っている物質はほんの5%にすぎません。残りは宇宙が膨張する源となる「ダークエネルギー」と、 銀河形成の元となった「暗黒物質(ダークマター)」と呼ばれる未知の成分だと考えられています。 このうち、暗黒物質は私たちの知っている通常の物質の5倍以上存在すると言われていますが、 いまだその正体は謎につつまれ、世界中で多くの研究者がこの謎に挑んでおります。 本講演では宇宙の未知の成分、中でも暗黒物質の研究について解説します。

日時:2015年8月1日(土) 13:30〜
場所:島根大学総合理工学部1号館2階21講義室
プログラム:
1. 開会挨拶 廣光 一郎(島根大)
2. 素粒子と宇宙 講師:波場直之(島根大)
3. 宇宙暗黒物質からインフレーションを探る 講師:石田裕之(島根大)
4. 宇宙の未知粒子「暗黒物質」を探る 講師:身内 賢太朗(神戸大)


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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
『宇宙の謎と素粒子』

2012年、ジュネーブのCERN研究所で、「神の素粒子」と呼ばれることもあるヒッグス粒子が発見されました。 それは、理論的にその存在が指摘されてから 48年後のことでした。 この粒子は、CERNの陽子陽子コライダーLHCで人工的に作り出されました。 LHCが生み出す7兆電子ボルトという、人類が作り出した最高エネルギーは、 ビッグバンの瞬間から1ピコ秒経った時の宇宙の超高温状態に相当するものです。 宇宙のごく初期に、ヒッグス粒子がどのような働きをして、宇宙が出来上がっていったのか、今解明されようとしています。

日時:2015年12月19日(土) 14:00〜
場所:島根大学総合理工学部1号館2階21講義室
プログラム:
1. 開会挨拶 石田裕之(島根大)
2. 宇宙のなぞと素粒子 講師:小林 富雄 (東京大・名誉教授)


【2014年度】
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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
ILC大学連携タスクフォースセミナー講演会
『ヒッグス粒子と宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画』

一昨年、欧州原子核研究機構(CERN)で稼働しているLHC加速器実験において,ヒッグス粒子が発見され新聞やテレビでも大きく報道されまし た。この 発見で、昨年のノーベル物理学賞は、ヒッグス博士とアングレール博士が受賞しました。ヒッグス粒子の発見により素粒子の標準模型が完成されたわけですが、 ヒッグス粒子の種類や数などを含めて、質量が生成されるメカニズムは依然として不明のままです。

また、ヒッグス粒子が発見されたLHCは陽子・陽子衝突型加速器で、陽子は複合粒子のため反応が非常に複雑となり、精密な測定には実は限界があります。 さらに、大きなバックグランド事象のため小頻度の現象を見逃す可能性もあります。そこで、国際リニアコライダー(ILC)という、日本に全長約30kmの 直線状の加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験をおこなう計画が提案されています。現在、国際協力による研究開発が進め られており,加速器の技術設計書,測定器詳細設計が完成し実現に向けた大きな展開を迎えています。

今回の講演会では、まず、素粒子物理学がどういう学問で、ヒッグス粒子がどういうものかを理論物理学者(波場氏)が解説をおこないます。次に、LHC実 験とヒッグス粒子発見の状況について、LHC実験で活躍している素粒子実験物理学者(竹下氏)に、現場の生の声をお話して頂きます。そして、ILCの物理 とその探索を実現するための加速器,測定器の概要,および実現に向けた国内外の状況について、素粒子実験物理学者(高橋氏)に解説して頂きます。
宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出すことによって、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫る物理学実験が今まさに日本で計画されているの です。こうしたエキサイティングな学問の現状を中学・高校の学生から一般の方まで分かりやすく解説し、興味を持って頂けたらと思います。

日時:2014年5月17日(土) 14:00〜
場所:島根大学総合理工学部1号館2階21講義室
プログラム:
1. 素粒子物理学って何?ヒッグス粒子って何? 講師:波場直之(島根大)
2. LHC(アトラス)実験とヒッグス粒子の発見 講師:竹下徹(信州大)
3. 宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画 講師:高橋徹(広島大)


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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
『最先端宇宙研究〜今、何が行われているか?〜』

日本人は、しっかりと、きちんとしなくては、という意識が強すぎて、どうしても新しいことへ挑戦することに躊躇(ちゅうちょ)してしまいがちです。 やらなくてよいのではないか。そうではありません。前例があることだけを追っていては、けっして新しい成果を得ることはできません。 どうしたら、できるのか、やれるのか。それに積極的に答えを見つけていくことが前進につながるのです。 「やれる理由をみつけて挑戦しないかぎり成果は得られない。」若いみなさんが、この意識をもつことが、日本の将来を握っています。

日時:2014年7月6日(日) 13:00〜
場所:島根大学総合理工学部1号館2階21講義室
プログラム:
1. 開会挨拶 服部泰直(島根大)
2. ビックバン宇宙論ー素粒子から宇宙へ 講師:波場直之(島根大)
3. 「はやぶさ」から伝えたい、創る力の育て方 講師:川口 淳一郎(JAXA)


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島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
共催:新学術領域「ニュートリノフロンティアの融合と進化」
『幽霊素粒子「ニュートリノ」が変化した!?』

大型加速器J-PARC、大強度ニュートリノビーム、 超大型ニュートリノ測定器スーパーカミオカンデを使って行われたニュートリノ実験T2Kの紹介をし、 近年発見されたミューオンニュートリノから電子ニュートリノへの変化について発表します。 高校生以上の一般の方にも分かりやすく、日本のニュートリノ研究の最前線の状況を紹介します。

日時:2015年1月11日(日) 14:00〜
場所:島根大学総合理工学部1号館2階21講義室
プログラム:
1. 開会挨拶 竹内潤(島根大)
2. 素粒子物理学とは? 講師:波場直之(島根大)
3. 理論物理学とニュートリノ 講師:石田裕之(島根大)
4. 幽霊素粒子「ニュートリノ」が変化した!? 講師:中家剛(京都大)